はじめに
こんにちは CDO の sawa-zen です。昨今、MCPサーバーの登場によってAPI経由から情報にアクセスしやすくなりましたね。これまで当たり前とされてきた「自社サービスにはUIが必要」という前提が、根本から問い直される時代が到来しています。この記事は最近私はこのことについて悩んでいますという話の記事です。
MCP時代がもたらす根本的な変化
これまでは自社サービスの「UIを実装する」というのは当たり前でした。しかし今は「本当にUIを実装すべきなのか?」と一度立ち止まる必要があります。UIはより贅沢品になりつつあるんじゃないかと最近感じています。
というのも、ユーザーは複数のMCPを使うことによって、アプリケーションを実装せずとも目的の作業が行えるようになったというのが大きなポイントです。MCPやAIが無かった時代では、外部APIを自作のアプリケーションに組み込む必要があり手間がめちゃくちゃかかっていたんですが、この負担が大幅に軽減されています。
そうすると自社のWebアプリケーションやモバイルアプリのUIを頑張って実装するよりも、外部APIを公開してMCPサーバーからアクセスできるようにしたほうが、ユーザー視点での柔軟性も上がるし、実装コストも少なくなると思うんです。
新しい時代における課題
この技術的な進歩により、デザイナーやPdMは新たな悩みと向き合うことになりました。ユーザー視点でUIとして実装されていたほうが幸せなのか、MCPとして提供したほうが幸せなのか、悩ましい場面が増えているんです。
従来は「機能を提供する = UIを作る」という単純な図式でしたが、今は選択肢が増えたことで、かえって判断が難しくなっています。どちらを選ぶかによって、ユーザー体験、開発コスト、将来の拡張性など、様々な要因が大きく変わってくるため、慎重な検討が必要です。
そこで私なりに判断基準を少し考えてみました。
私なりの判断基準
判断基準:「口頭説明で困るか?」
UI実装の必要性を判断する最もシンプルで実用的な基準は、「口頭で成果物を説明されても困る場合はUIが必要」ということです。
口頭説明で十分なもの: - 「売上が前年比15%増加しました」 - 「在庫が10個不足しています」 - 「メールを3件送信しました」
口頭説明では困るもの: - 「複数のグラフを比較できるダッシュボードを作りました」→ 横断的な比較は視覚で確認したい - 「10個のプロジェクトの進捗状況を整理しました」→ 全体の状況を同時に把握したい - 「複数人で同時編集できるようにしました」→ 実際の協調作業を体験したい
判断基準:「AIツールでは代替困難な領域か?」
現在のAIツールでは代替が困難な領域も存在します:
- リアルタイム性の高い情報:複数ユーザーの同時編集・コラボレーション
- 複雑な空間的操作:ドラッグ&ドロップ、レイアウト調整
- 継続的な状態管理:長時間のセッション維持
- 視覚的創作活動:デザイン、描画、レイアウト作成
単体の確認くらいであれば基本的にAIツールでも十分だと思います。ただ複数個を同時に横断的に見たいという場面にAIはまだまだ弱いんじゃないでしょうか。
しかし、判断基準があっても、自信をもってUIを実装すべきと踏み切るのも難しいかもしれません。そこで、リスクを最小限に抑えながら最適な選択ができる開発戦略を考えてみました。
MCP-First な開発戦略
段階的なUI投資アプローチ
MCPで先に機能を提供して価値検証を行い、要望が強くなったものをUIに昇格させるという新しい開発手法が可能になります。
まずMCP + APIで機能をリリースして最小限のコストで価値検証。その後、実際の利用状況を見て需要の高い機能だけUIを実装していく流れです。UI実装前に実際の需要を確認できるため、投資対効果を最大化できるし、MCPなら数日から数週間で機能提供が可能です。
例えば、ECサイトで新しい在庫管理機能を開発する場合、まずMCPで提供してみて利用率が高ければダッシュボードUIを開発する、といった感じです。
まとめ
MCP時代において、UI実装は従来の「必需品」から「贅沢品」へと位置づけが変化しつつあります。私なりに「口頭で説明されても困るか?」や「AIツールでは代替困難な領域か?」といった判断基準を考えてみましたが、実際のプロジェクトでは毎回悩ましい判断を迫られているのが正直なところです。
MCP-First な開発戦略も一つのアプローチとして有効だと思いますが、まだ事例も少なく、本当にこの方向性が正しいのかも手探り状態です。ただ、少なくとも「本当にUIが必要なのか?」という問いと向き合うことは、今後のプロダクト開発において避けて通れない課題になりそうです。
この記事が同じような悩みを抱えている方の参考になれば嬉しいですが、まだまだ私自身も答えを探している最中です。